日本語と高句麗語は同源か 2
orig: 2004/06/29
板橋論文で日本語と同源とされる高句麗語を日本古語の特徴に照らして考えてみる。

ここで日本古語の特徴としては:

  1. 開音節である(語尾が子音でない)
  2. 二重母音がない
  3. 語頭に濁音が立たない
  4. 語頭にRが立たない(高句麗語でも実例がない)
1.の開音節である、という要件を満たしていないものは:1,12, 15, 17, 20, 22, 23, 26, 32, 33, 38, 40, 41, 43, 48, 50, 52, 53, 54, 57, 58, 61, 63, 以上二十三語が閉音節である(または、閉音節の形がある)。この語数は日本語と同源とされる高句麗語47語の、ほぼ半数に相当する。

2.二重母音がない、という要件を満たしていないものは、1, 2, 18, 22, 23, 26, 36, 41, 63の九語と数える。

3.語頭に濁音が立たない、という要件を満たしていないものは、1の biar、6のγapma、7 gu の三語である。

勿論、これら日本古語の特徴に反する高句麗語彙が日本語に入ったとすれば、その時に閉音節のものは、何らかの形で開音節化されるだろうし、二重母音はそれが解消されて別の単母音に変形されるだろうし、語頭濁音も清音化されるだろう。

つまり、高句麗語と日本語の関係を考える場合には、上記日本古語の特徴を持った言語が基層にあって、そこへ高句麗語彙が入った、と云うシナリオが抵抗が少ないものであろう。

なお奈良朝の八母音での対応、つまり甲類乙類との対応関係も見てみようとしたが、それを調べるに足るだけの語がなく、何とも云えない。辛うじて

17 kor と「心 ko2ko2ro」
18 koγoi 「鵠 koFu」
に関して、高句麗側の ko が日本語でko2(乙類)となったりko(甲類)となったりしている、という不整合が指摘出来なくはないが、18自体が擬音語でありそうで、同源の為の比較対照に相応しいかどうかが元々疑問なので、詮無いことのように思える。


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