タイトル | : 大津純子さんより |
投稿日 | : 2005/06/08(Wed) 20:46 |
投稿者 | : 大三元 |
NYをベースに最近日本でもご活躍のバイオリニスト大津純子さんから感想を頂戴しました。お許しを頂いたので全文掲載します。大津さんのHP:
http://www.junko002.com/
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『大三元の子守歌』〜CDを聴いてみて・・・
2005年6月8日 大津 純子 記
このCDは、大山 元作曲:≪やさしい弦楽四重奏≫〜アマチュア・プレイヤーのための入門曲集〜を音源化したもの。
実は、レッスンの友社から出版されたこの楽譜を、知人の純・音楽愛好家のお集まりで早々に音出ししたことがあるのです。いや〜、とっても素直な、趣味の良い作品の数々・・・すごく新鮮で、プロの私も大いに楽しんでしまいました。私の一番のお気に入りは 『エレジー』 でしたが、それぞれの曲にそこはかとなく漂うノスタルジックな情感やユーモラスな感性がシンプルに綴られていて、アマチュア弦楽奏者の方々にとって、本当に嬉しい曲集の出現だと思います。
この曲集の何に感心したかというと、“アマチュアさんは難しくちゃ弾けないでしょ。だから、易しく書いてみました”−という、すぐに飽きちゃう 「初心者向け」 編曲集などが多い中、この曲集は、一体何がアマチュアにとって必要なのかな、どんなことをしたら楽しいかな・・・という視点がはっきりしているし、弦楽四重奏を楽しむための基本とも言える、ハーモニーを美しく響かせる大切なテクニック習得の道まで提示していることです。模範演奏(というか、参考演奏?)している環(たまき)弦楽四重奏団は、そういった作曲者の意図・狙いを把握して、とても清々しい演奏を繰り広げています。
弦楽四重奏にとって不可欠な、<純和声音>の美しい響きを作る音程の求め方−が、収録曲:『開放の弦奏』第一番〜第五番で、(それこそ開放弦を弾いて遊んでいるうちに)知らずと身についてしまうのではないか、という気がします。また、日頃、ピアノなどの鍵盤楽器に用いられている(オクターヴを無理やり12等分律してしまう)<平均律>ばかりを聴き、長短3度の音程の狂いから生じる協和と不協和の境界の不明瞭さ−に全く疑問を感じなくなっている耳には、その響きの美しさは新鮮に感じられるはずですし、ハーモニー(調和)という言葉の原点を確認し直すことになるかもしれません。
アマチュア作曲家である大山元さんが、ごく自然に楽しみながら、そんな大切なテーマに取り組んでしまったことは、実はとっても大変な出来事なのではないかと思います。
ある人から聞いたことですが、純正律で演奏された音楽を聴いていると、人間は精神が安定し、体調がとっても良くなるんだそうです。<和合・調和>することに敏感な、精神の安定した人々こそ、今、多く求められている時代じゃないでしょうか?
『やさ弦』(やさしい弦楽四重奏)で、そんな感性を持つ人たちが育つとしたら、なんて素晴らしいことでしょう!!