日本古語の多重構造
ほんの入り口で逡巡

リンク:熊谷氏の考察

orig: 2003/06/08
latest: 2006/03/30

今の日本語の語彙は、多くの地域からの借用語と、借用元が判らない言葉(これが大和言葉であろう)から成っている。借用語は、古くは中国、朝鮮から、最近では多くは西洋から、低頻度ではあろうが、世界各地の言語から来ている。

さて、「大和言葉」というものは一枚岩か。こういう疑問、問題提起は今までにあったであろうか? 大和言葉とされる語彙も実は二重構造、多重構造になっていないだろうか?

例えば「新」を意味する大和言葉に「アラタシ」と「ニヒ」がある。これらが本源的に大和語で内部発生したかも知れないが、それぞれ起源を異にしているかも知れないと考えてみよう、というプロジェクトである。

同じ事に対していくつもの単語があるのは、僅かに意味差を持たせることもでき、そうでなくとも、表現が豊かになる効果があろう。つまり、同義語の各々の起源が異なる、という保証は全くないものの、起源が異なるかもしれない、という発想、視点で大和言葉を見てみよう、と思う。

方法論としては、

  • 同義、類似義に対して、毛色の異なる語があれば、それらを収集する。このとき、『時代別国語大辞典上代編』に出ている語彙を基準とする。
  • それらのなかで、琉球語との対応を見る。『沖縄古語大辞典』を参照資料とする。
  • 琉球語との対応のあるものは、基本的には弥生起源に遡る、と仮設する(但し、近世に借用されたものを除外したいのだが、さて、その方法は?)
  • そうやってみても、なお弥生起源のものが複数ある場合は、弥生語の多重構造を考える、ということに発展するだろう
  • 残るものが他の起源による弥生語か、または、縄文語起源の候補

これは大変な仕事だ。やり続ける自信全くなし。。。

ひとまず、概念的なデータを下記しておく。

ワタウミ(ウナ、∴ウニ?)琉:ウミあり;ワタ系無し? となると、ワタ=海というのは、和語と琉球語が分離した後に和語に入ったコトバ、ということになるか
ニヒアタラシ琉:miisaNニヒ系;アタラは和語の古い意味(可惜)を保存;琉:sara ア:asir
熊谷氏指摘:「うい(初)」「はつ(初)」「はじめ(始め、初め)」
ヤマモリ、タケ、ヲカ琉:ウタキ=大・岳か。
カハミ?、ツ?参考。例:日高見=日高川、ということでは。
ヲチトホシヲチはワタの母音交代か、とJK
玉・瓊タマニ、ヌ 
アヒダ 
天・空アマソラ琉:ツヅ=天頂。『初期天皇后妃の謎』p208。参照:和語ユフツヅ
真田信治編『日本語の消滅に瀕した方言に関する調査研究』P145に甑島方言に「頭頂:ヅッゾー」とあり。頭頂 の音読か。そして、琉球方言もこれに類する音読か。(2006/07/16)
赤・丹アカ 
ツチニ、ハニ 
キモ 
イ(名詞) 
イシ・イソイハイサゴ
クズカツラ 
オト 
オトガヒアゴ・アギ?cf.アギ田琉:kakuzi, utugee (アゴ系無し?)
アサアシタ琉:asa, sutumitiツトメテ
アサ 
天空アメソラ 
ツマ琉:tuzi刀自;ア:tusi
 
カヤ茅萱(チガヤ)と合成可能
カゼシナ、シ 
アユムカチ 
同源?
顔面カホツラオモ?
アタマカブ、カシラ 
ツブラマロマドカはJKになし
キヌコロモ、ソキヌ>絹?熊谷氏
昨日キノフキソ、キスケフに照らすと「フ=日=ヒ甲?」、「ケフ:キノフ ← *キフ:キノフ?(ケフ:*ケノフ?){*は文献にない語形}参照「キフ=来経:経過する。来ては去って行く」(JK)
タカクチこれは簡単。クチは百済俗号と、仁徳43年紀
暮・夕クレユフ 
琉:カハ
サケミワ
イヲ・ウヲナ、イサ(鯨)、イサナ(鯨)大魚オフヲ←オホ・ウヲ(出雲風土記)
イサクヂラ 
マヘサキクマ、日前はヒクマ。クマは琉で村の意(クダ、クラ、コダ、フタとも。)マキョと同義。S10 古昌郡 本古ダ耶郡★今安東府領縣三 欽明紀「居陀牟羅」、百済王子余昌が占領
沢・谷サハタニ 
鰐・鮫ワニサメ 
サルマシ 
    
    
    
    
    

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