タイトル | : ことびきメモ |
投稿日 | : 2011/12/18(Sun) 08:32 |
投稿者 | : 大三元 |
「ことびき」を考えるにあたり「ことひ」という語が参考になるのではないかと思ってます。今でも山口県に「特牛」と書いて「こっとい」と読む地名(駅名のみ?)があります;古語でも「特牛」で「ことひ」です。頭の大きな牛、というのが直接的な意味のようです;そこから力強い牛、という意味になっています。
「ことびき」の「こと」は「特殊、特別」のことで、これは古語辞典でも確認できる。残る「ひ」は、どなたの説が忘れましたが「ひき、引き」が「ひ」に縮約されたものであろう、というのがありました。時代別国語大辞典上代編では「負ふ」(おふ){の活用形}「おひ」の縮約であろう、とします。
これを「ことびき」に応用すると「特別な蛙」という意味合いを見ることが出来そうです。
琉球では蛙のことを「あたびき」という。「あた」について考えてみる;「沖縄古語大辞典」には「あた・ぐゎほう=思わぬ幸運(果報)」という語が載っています。すなわち「いろんな幸運の中でも{思わぬ}幸運、特別な幸運」という意味合いが観じられます。したがって琉球語でも「あたびき」は「蛙の中でも{なんらかの意味で}他と違う蛙」の意味であろうか、と思います。但し琉球では蛙の場合には「つまらない者のたとえ」というネガティブな意味に使われるようです。
同じ語が正反対の意味を持つに至ることは散見されます(結構な話だ:良い話なのか悪い話なのか。イイカゲン:本来良い加減だったものが悪い意味になる。適当:相応しく当を得ているのに悪い意味に使う。)
「ことひ<ことひき、こと(お)ひ」での「こと」は牛が特別に有能であることを表したけど、「あたびき」の「あた」は蛙が特別につまらない蛙である、ということと理解します。さて「ことびき」の「こと」はどっちでしょうね。信仰されてる(?)とするらしいので蛙の中でも良い意味で特別な蛙なのかしら。。。