「天照」の周辺
ORIG: 2003/11/20
rev1: 2003/12/05 add
rev2: 2003/12/31 言い回し改定

「天照」という語が単独あるいは「天照・国照」とペア的に使われている。単独用例ではなんといっても「天照大御神」だし、ペアの例は「天照国照彦天火明櫛玉饒速日尊」(先代旧事本紀)がある。

最近の私の調査から、「」と「」字が「照る・輝く」の意味合いを持つことが判ってきたし、また、「日」を「か」と読むこと(沖縄古語では「かは」の語形もある)、「かは」が「井戸」や「川」をも意味し、「か(は)」を通じて「日」と「川、井」がつながることも提示してきた。

これらを踏まえて、従来「太陽」とか「照る」という概念とは考えてこられなかった諸例について、見直しを提言すべく提示する。

沖縄古語で

  • 「太陽」を云うのに「ヒ、カ、カハ、シノ、シナ」がある。
  • また、「照る」と「す」は対語・類語のように使われている。
  • 「かがす(表記の揺れとしては、きやかす、と清音もある)」が「輝かす」の意味であろう、とされている。
古事記:大倭帯日子國人(第六代天皇:人は人ともある)+天帯日子(兄)兄弟で「天照・国照」となる
日本書紀日本足彦国人(第六代天皇)+天足彦国人(兄)同上
古事記正勝吾勝勝速日天穂耳尊は照らす、か。「忍穂耳」を「オシホミ」と読めば「熊野オシホミ」とも対応する。:追記2003/12/05
古事記スサノヲ系譜八島士奴美士奴=シノ=照らす、か。スサノヲの子。日本書紀による異名:清湯山主三名狭漏彦八嶋・清繋名坂軽彦八嶋手命・清湯山主三名狭漏彦八嶋野
古事記大国主系譜日名照額田毘道男伊許知邇日名照、は意味としては「日の輝き」であろう一方、読みとしては「シナ照る」にも通じる。「下照姫」の「シタテル」も「シナテル」の可能性が考えられる。:追記2003/12/05
古事記大国主系譜↑の子。国が「国照」
古事記大国主系譜富鳥鳴海が「国照」。母は「青沼馬沼ヒメ」と「」が入っている
古事記日・天大伴連等之祖。『新撰姓氏録』に「高皇産霊尊(タカミムスビ)の五世孫天押日命之後也」とある。

また、「葛木直 高魂命五世孫剣根命之後也」ともあり、「天忍日」と「剣根」とは同世代となる。「ツルギネ」の部分をアイヌ語 chup ki ne と解けば 「日・光・なる(である)」となり「天忍(=照る)日」と意味合いが近くなるがどうであろうか。

剣根の娘にカナラチ姫あり、kanna が「上方の」(kanna nis 上天)であることに注目はしている。しかし後半の方が、、、そのぉ、ラチがあかない・・・)

先代旧事本紀人・天ヒメ・天天村雲の三児。天男はカナラチ姫と夫婦で、オキツヨソ・ヨソタホヒメをもうける。ヨソタホヒメが第五代孝昭天皇に嫁ぎ、大倭帯日子國人(第六代天皇)+天帯日子(兄)をもうける。
古事記鹿ヒメ大倭帯日子國人(第六代天皇)妃。は照らすだろうが、「鹿」は「か」と読み「日」が原義であったろうか。
濱宮(神社)祭神:天照皇大神 配 天懸大神、國懸大神天懸・国懸のペア。天照・国照の意味である、と見ている。
また、語としては、天懸が天照皇大神に相当している、ということになる。
常陸 信太 樞神社(くるりじんじゃ)「天懸命、國懸命」というのも興味がある。
播磨 印南 泊神社(とまりじんじゃ)「天照大神、國懸大神、少彦名大神」ここでは、「天懸」が「天照大神」と表現されているやに見える。少彦名大神が現れるのは「カガミ」つながりであろう。参考:スクナヒコの語義
神社データは神奈備さんのサイトより拝借
古事記香坂王と熊王「香」はカゴで意味は輝く・は照らす:坂とクマは地形か。追記2003/12/04
孝元+景行紀彦太信→彦屋主男武雄心→武内宿禰(武内宿禰の母は影媛)は照らす:影との対比(類語)。「信」は「しの?」「太信」は「布都おししの?」「布(都)・・」「布神社??」:追記2003/12/05
景行紀大足彦代別たらし、照らし、か?は照らす。代(しろ)は実は「しの」(太陽)?:追記2003/12/04
書紀くにおし(国→国照)清寧・安閑・宣化・欽明:追記2003/12/04

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