歴史・言語方面の話題をどうぞ
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タイトル倭迹迹日百襲姫命の【迹迹】について
記事No1845
投稿日: 2009/01/26(Mon) 17:39
投稿者hoshikuzustardust
倭迹迹日百襲姫命の【迹迹】について少々書いてみます。お考えをお聞かせくださいませ。
迹迹の語意としてカイコではどうでしょうか。カイコは方言形でトトを語幹とするものが東北地方に存在するようです。青森ではアトト、会津ではトトコ、などのようにです。 古い形でカイコをトトと呼んだケースもあったとするならば、 倭迹迹日百襲姫命の【迹迹】もカヒコであったのではと考えられないでしょうか。 
もとより、絹ないしハタオリモノは、上代において神聖なものと考えられ巫女とも関連が深いものと考えられます。 神名についてきても不思議ではありません。 物部氏にもオホヘソキという人物がいますが、ヘソキをもって、ヲダマキと考えると、糸との関連性が出てきます。麻ですが。
舌足らずですが、投稿してみました。
そうだ、タタリって、糸巻きのことなんですよね、古語で。

タイトルRe: 倭迹迹日百襲姫命の【迹迹】について
記事No1846
投稿日: 2009/01/26(Mon) 17:43
投稿者hoshikuzustardust
・・・ホトタタライススケヒメ・・・・のタタラってタタリからきていませんかね? ホトはハタに通じて。 タクハタチヂヒメも連想してみます。

というのを追伸させてください。

タイトルRe^2: 倭迹迹日百襲姫命の【迹迹】について
記事No1848
投稿日: 2009/01/26(Mon) 18:23
投稿者大三元
> ・・・ホトタタライススケヒメ・・・・のタタラってタタリからきていませんかね? 

私もそこら辺のことを考えていますが結論には到っていません。
http://www.dai3gen.net/tatara.htm

> ホトはハタに通じて。 

そのように「通じて」いる例でも挙げられれば考えてみます。

タイトルRe^3: 倭迹迹日百襲姫命の【迹迹】について
記事No1850
投稿日: 2009/01/27(Tue) 15:38
投稿者hoshikuzustardust
> 私もそこら辺のことを考えていますが結論には到っていません。
> http://www.dai3gen.net/tatara.htm

あ。大変失礼いたしました。参考にさせていただきまして考えてみたく思います。

ところで。
【迹】の古訓に、「たつぬ」「たつね」というのがあるそうです。【尋】ですね。藤堂先生の漢和辞典で知りました。 大・田田根・子 の田田根と関連があるのかなぁと夢想しております。 やまとたつねとびももそひめ云々。 考えてみれば祟神天皇は大田田根子の居場所が最初わからずに方々に尋ねたはずです。

白川先生の字統によれば【迹】の正字は、「刺」という字の右側の「り」を取り去った字(音はシのようです)に、さらにしんにょうを付加した字だそうです。(音はセキのようです、訓はなし。)意味合いとして、「ハヤイ」というのがあるようです。

・・・「速」の字と似ていますが、中国の漢字としては生成原理が違うようです。

かつて、【迹】の正字を使っていたのが、俗字として迹を使うようになったと仮想しますと、【迹迹】のうち、最初のひともじだけ「ハヤ」と読んで「ハヤト」となると面白いのですが、なんとなく怪しそうです。

それよりも、「チチハヤ」という部分をもった名前をもつ皇族ないし傍系がいるようですので、この「ハヤ」との関連性を見たほうがよいかもしれません…

なお

タイトルRe^4: 倭迹迹日百襲姫命の【迹迹】について
記事No1851
投稿日: 2009/01/27(Tue) 22:58
投稿者大三元
> 【迹】の古訓に、「たつぬ」「たつね」というのがあるそうです。【尋】ですね。藤堂先生の漢和辞典で知りました。 大・田田根・子 の田田根と関連があるのかなぁと夢想しております。 やまとたつねとびももそひめ云々。 考えてみれば祟神天皇は大田田根子の居場所が最初わからずに方々に尋ねたはずです。

面白いですね。

> ・・・「速」の字と似ていますが、中国の漢字としては生成原理が違うようです。

ご存知でしょうが「倭迹速神浅茅原目妙姫」という表記が一カ所ありまして、結構悩ましいものがあります。
http://www.dai3gen.net/yamatoto.htm

> かつて、【迹】の正字を使っていたのが、俗字として迹を使うようになったと仮想しますと、【迹迹】のうち、最初のひともじだけ「ハヤ」と読んで「ハヤト」となると面白いのですが、なんとなく怪しそうです。

「トハヤ」なら実在の漢字表記の読み候補になりそうです。

> それよりも、「チチハヤ」という部分をもった名前をもつ皇族ないし傍系がいるようですので、この「ハヤ」との関連性を見たほうがよいかもしれません…

そこら辺に関するサイトはご覧下さったでしょうか。なかなか判らないところです。
http://www.dai3gen.net/hayahi.htm

タイトル倭迹迹日百襲姫命の【迹迹】について
記事No1855
投稿日: 2009/01/28(Wed) 15:37
投稿者hoshikuzustardust

> ご存知でしょうが「倭迹速神浅茅原目妙姫」という表記が一カ所ありまして、結構悩ましいものがあります。
> http://www.dai3gen.net/yamatoto.htm
>
倭迹速神浅茅原目妙姫だけでみれば、ヤマト+タタネ+ハヤ+浅茅原目妙姫と読む方法もありそうです。迹の一字だけで意味を見出せないかという作戦でしたから…するとたとえば。ご紹介していただいたページ冒頭において。

>日本書紀 倭迹迹日百襲姫 ヤマト・トト・ヒ・モモソ・ヒメ
>古事記 夜麻登登母母曾毘賣命 ヤマ ・ トト・ ・モモソ・ビメ

>と読める表記がなされており、古事記の方では、
>「ト」が一つ少ないことと、「日」に対応する「ヒ」の音が
>抜けているのに気がつきます。
>伝承の違いに依る脱漏なのでしょうが、それは、一方では、
>原義が忘れられたことを示唆しているように思えます。
(中略)
>最初の3文字「倭迹速」と「倭迹迹」が対応しそうです。
>「速」と「迹」の字が似ているので誤写の可能性もあるかとも
>思われますが、この姫の周辺に「早・速」の字の付いた名前も
>散見されることもあり、誤写とも言い切れません。


の部分にたいする応答として、(信頼度が低そうですが)以下のような原義を構成することがあるいは可能かもしれません。ハヤについては、新しい味をつけさせていただきまして、くだんの、刺からリを抜いた字にしんにょうのほうのハヤ(=正字の迹)として。

紀 迹+ 迹日 +百襲姫 タタネ・【ハヤ】ヒ・モモソ・ヒメ
記 登+(脱漏)+母母曾毘賣命 タタネ・脱漏 ・モモソ・ビメ

記において何ゆえ「登」なのかについては、原義を忘れてしまっているのだと強引に解釈しなくてはいけないことが欠点です。でも、百を母母とするぐらいなのですから(甲乙の分別の意義の脱漏)。
また、大田田根子をヒッパリだしてくる巫女さんの名前にもタタネがはいっているのだ、と考えることもできますし、多少面白いかと存じます。

以上のように、【迹】の一字の解決方法が平行で複数考えてよいならばあるいは面白いかもしれないと存じます。

===

> > それよりも、「チチハヤ」という部分をもった名前をもつ皇族ないし傍系がいるようですので、この「ハヤ」との関連性を見たほうがよいかもしれません…
> そこら辺に関するサイトはご覧下さったでしょうか。なかなか判らないところです。
> http://www.dai3gen.net/hayahi.htm

谷川健一先生が沖縄でみつけたオハナシが先生の全集にのっています。巫女が巫女たるためにチヂをまずおろさなくてはいけないというシャーマニズム体系です。沖縄本島以外では、チヂ以外にツヅとも言うようですが。 チヂは、一種の霊威であり祖先霊でもあり、といったところでしょうか。「チチハヤ」の「チチ」とは、巫女をあらわしていると考えられないでしょうか。タクハタノチヂヒメなど。二重王権を示唆しているように感じます。

ハヤについては、五月蠅なすのハエが満ち滾る霊威をあらわしているのかなとおもったりしてみますが、このハエとハヤとの訛りがあるのかなぁと感じています。

ながながとすみませんでした。

タイトルRe: 倭迹迹日百襲姫命の【迹迹】について
記事No1857
投稿日: 2009/01/28(Wed) 18:18
投稿者大三元
> 以上のように、【迹】の一字の解決方法が平行で複数考えてよいならばあるいは面白いかもしれないと存じます。

面白いのですが「タタネ」と「タツネ」が通用しうることが前提になりますね、その説明が出来ましょうか。

> 沖縄本島以外では、チヂ以外にツヅとも言うようですが。 

沖縄古語辞典には「ツツ」に「神霊・霊力」の意味を与えています。(おもろに用例あり)。和語の「チチ」と同源の言葉でしょうか、要検討ですね。まさか、「チチ」のズーズー弁が沖縄に、なんてことになるのか。

> ハヤについては、五月蠅なすのハエが満ち滾る霊威をあらわしているのかなとおもったりしてみますが、このハエとハヤとの訛りがあるのかなぁと感じています。

蠅の「エ」はア行の「エ」。葉江さんの「エ」はヤ行の「エ」。
蠅と「ハヤ」 よりは 葉江と「ハヤ」の方が距離は近い、と観じています。

タイトルRe^2: 倭迹迹日百襲姫命の【迹迹】について
記事No1861
投稿日: 2009/01/30(Fri) 18:20
投稿者hoshikuzustardust
>
> 蠅の「エ」はア行の「エ」。葉江さんの「エ」はヤ行の「エ」。
> 蠅と「ハヤ」 よりは 葉江と「ハヤ」の方が距離は近い、と観じています。

ううーむ、少々甘く考えていました。非常に勉強になります。ありがとうございます。 ハエイロドってなんでしょうねぇ。それにしても。

タイトルRe^3: 倭迹迹日百襲姫命の【迹迹】について
記事No1863
投稿日: 2009/01/31(Sat) 08:52
投稿者大三元
何を寝ぼけていたのだろう・・・
> > 蠅の「エ」はア行の「エ」。葉江さんの「エ」はヤ行の「エ」。

蠅は「ハヘ」。葉江さんの「江」はヤ行の「エ」。:に訂正します。

> > 蠅と「ハヤ」 よりは 葉江と「ハヤ」の方が距離は近い、と観じています。

この観察は不変。

> ううーむ、少々甘く考えていました。非常に勉強になります。ありがとうございます。 ハエイロドってなんでしょうねぇ。それにしても。

上記にもかかわらず、葉江さんの裔に「蠅いろね・蠅いろど」というのは、葉江≒蠅、としたくなりますよね。

タイトルトホチとトヲツとシナ
記事No1865
投稿日: 2009/02/02(Mon) 14:32
投稿者hoshikuzustardust
ハエハヘ類似で(私の中で勝手にですが)。。

「十日」と「遠津」、こちらを積極的に同一視できない理由も似た理由によるのでしょうか? 私はテッキリ同じもののナマリともっぱら考えてきていましたので、そういう意味でも、No.1860でも記したように、勉強になります。 現代国語教育をうけていると陥穽におちるといいますか何と申しますか。

※「遠津」と「十日」については祟神あたりの一族をみていてナニカ謂れがあるのだろうなぁぐらいにしか考えておりませんでした。

タイトルRe: トホチとトヲツとシナ
記事No1867
投稿日: 2009/02/02(Mon) 16:42
投稿者大三元
> 「十日」と「遠津」、こちらを積極的に同一視できない理由も似た理由によるのでしょうか? 

取りあえず、というか、表面的には、というか、基本的には「十日」は「とをか」、「遠津」は「とほつ」ですから「両者は相互に異なる語である」でしょうね。洒落とかなんかで「両者は同一」と解するとあれこれ都合が良くなることがあれば、どれどれ?、と検討してみよう、ということになるのでしょうけど。

> 現代国語教育をうけていると陥穽におちるといいますか何と申しますか。

古代のことを考えるには「旧仮名遣ひ」を使うことが必要ですね。

タイトルの「トホチとトヲツとシナ」の意味、意図が読み切れませんが、必要ならご説明をお願いします。

タイトル十市…
記事No1869
投稿日: 2009/02/03(Tue) 16:03
投稿者hoshikuzu
うはぁ・・・頭がもげました。あらためまして。

「十市」と「遠津」、こちらを積極的に同一視できない理由も似た理由によるのでしょうか? 
ふと思ったものでして。

タイトルRe^2: 倭迹迹日百襲姫命の【迹迹】について
記事No1862
投稿日: 2009/01/30(Fri) 18:27
投稿者hoshikuzustardust
>
> 面白いのですが「タタネ」と「タツネ」が通用しうることが前提になりますね、その説明が出来ましょうか。

別途、トとタが通じる旨、1859あたりで投稿させていただきました。
それとは別に、竜田川の立野とかの関連も模索はしているのですが、万が一まとまればご報告いたします。また、「ツツ」=「筒」と蚕の関連性を示唆されているような気がする記紀の記述がありますので、そちらも考え込んでいます。問題は綴喜と鼓なんです。神名に出てくる筒もなにやら渡来海神系と、うーん。蚕は朝鮮半島から早くから来ていますので。妄想もいいかげんにしないと行けないのですが・・・

>
> > 沖縄本島以外では、チヂ以外にツヅとも言うようですが。 
>
> 沖縄古語辞典には「ツツ」に「神霊・霊力」の意味を与えています。(おもろに用例あり)。和語の「チチ」と同源の言葉でしょうか、要検討ですね。まさか、「チチ」のズーズー弁が沖縄に、なんてことになるのか。

ずーずー弁なら出雲も得意ですよね。

タイトルRe: 倭迹迹日百襲姫命の【迹迹】について
記事No1847
投稿日: 2009/01/26(Mon) 18:21
投稿者大三元
> 倭迹迹日百襲姫命の【迹迹】について少々書いてみます。お考えをお聞かせくださいませ。

ご投稿有り難うございます。

> 迹迹の語意としてカイコではどうでしょうか。カイコは方言形でトトを語幹とするものが東北地方に存在するようです。青森ではアトト、会津ではトトコ、などのようにです。 

そういう方言があることは確認しました。
中山健著『秋田方言辞典』では「尊蚕」(尊いこ)からの転だとしています。もしそうならば、古い語形は「たふとき・こ」あたりの筈。そのような語は古代史料にないようです。(なお、蚕の上代語は「かひこ」、「こ」)

> 古い形でカイコをトトと呼んだケースもあったとするならば、

そのようなケースは存じません。

> もとより、絹ないしハタオリモノは、上代において神聖なものと考えられ巫女とも関連が深いものと考えられます。 神名についてきても不思議ではありません。 

神聖という概念があったのか、とか、巫女との関連は判りませんが、機織り(に関する事柄)が女性名に入っているのはその通りです。

タイトルRe^2: 倭迹迹日百襲姫命の【迹迹】について
記事No1849
投稿日: 2009/01/27(Tue) 15:23
投稿者hoshikuzustardust
>
> そういう方言があることは確認しました。
> 中山健著『秋田方言辞典』では「尊蚕」(尊いこ)からの転だとしています。もしそうならば、古い語形は「たふとき・こ」あたりの筈。そのような語は古代史料にないようです。(なお、蚕の上代語は「かひこ」、「こ」)

すばらしいです。ご回答をありがとうございます。なるほど、尊い蚕ですね! 
ありがとうございました。

タイトルRe^3: 倭迹迹日百襲姫命の【迹迹】について
記事No1852
投稿日: 2009/01/27(Tue) 23:05
投稿者大三元
> すばらしいです。ご回答をありがとうございます。なるほど、尊い蚕ですね! 

念のため付言しますが、私はその「尊い蚕」説は検討(*)していませんので純粋にこんな説もある、というご紹介をしただけです。

*例えば「尊い」(たふとき、かな?)が前置きされる上代語の例があるか。近代以降でも「とうとい」が「とと」になる例があるか。「ととこ」が東北にしか見られないのはどうしてか。

タイトル倭迹迹日百襲姫命の【迹迹】について
記事No1856
投稿日: 2009/01/28(Wed) 16:55
投稿者hoshikuzustardust
なるほど、ご配慮をありがとうございます。

トトについて、その後考えてみたのですが、ふと白鳥庫吉先生がかつて指摘した、「常(日本)」=「tottot(韓国語)」を思い起こしました。常のヨミとして、「トト」というのがかつては存在していたのではないかと。傍証はありませんけれども。

たとえば、モモソヒメの先祖筋にあたる常根津のみこと。トキネツないしトコネツが通説ですし異存はありません。しかしながらあえてここは大妄想にて、トトネと読んだらいかがでしょう。 大田田根子の田田根の意義がわかってきそうな気がいたします。 あくまで妄想ですが。 モモソヒメが大田田根子をヒッパリダシテキタ理由がうかがいしれるかもしれません。タタネないしトトネは天国イメージをあらわしていたのでシャーマンには好都合である名前だと。で、家系を通じてなんとなく保持していたと。

もうひとつ。皇極紀にある常世虫のくだり。猛威をふるったカルトのオハナシですね。この常世虫ですが、実際には橘につく青虫のようです。 橘以外にも「ホソキ」という謎の植物にもツクのですが。脱線するとホソキはオホヘソキとなんとなく似ていて。それはさておき。 常世虫カルトの言いだしっぺが大生部多、これは大多々根子の属するオホ氏末裔かとも思われます。詐称かもしれまんけれども。垂仁天皇の時代に常世の国からのトキジクノカクノミのエピソードがありますが、このオハナシに橘の実が出てきました。この橘にヒッカケテ、橘につく青虫がトコヨを連想させたと考えてよいはずです。皇極紀では説明がこれだけではなく、青虫についてわざわざ「蚕に似ている」と説明します。青虫知らなかったのでしょうか…読み手は。なぜ蚕が出てくるのでしょう、不自然かもしれません。 そこで大妄想なのですが、蚕をトトと呼んだのかもしれないと。 永遠を示すトトでもって蚕の名前としていたところ、それとは別に青虫宗教が出てきたと。それで書紀では触れざるをえなかったと。後の世に秦氏の伝承において蚕=常世イメージが出ては来ているようですが、なんともはや。
トトがカイコの別名であり永遠をしめす韓国語とも関連していたという大々的なト【ト】ヨ虫妄説なのですが、なんとなく私には捨てきれません。


 

タイトルRe: 倭迹迹日百襲姫命の【迹迹】について
記事No1858
投稿日: 2009/01/28(Wed) 21:33
投稿者大三元
> トトについて、その後考えてみたのですが、ふと白鳥庫吉先生がかつて指摘した、「常(日本)」=「tottot(韓国語)」を思い起こしました。常のヨミとして、「トト」というのがかつては存在していたのではないかと。傍証はありませんけれども。

一般に、日本の古代を考えるときに、現在の韓国語がどう役立つのか・役立たないのか。韓国語の古形が殆ど判ってないそうで、かなり危険度の高いことになりそうだな、と思ってます。

> ここは大妄想にて、トトネと読んだらいかがでしょう。 

例えば「ツ」と「ト」とか、「ヌ」と「ノ」とかの混乱・通用は承知していますが「トトネ」と「タタネ」すなわち「ト」と「タ」の通用の事例が咄嗟に浮かびません。そんな現象があった、と仮設するならせめて事例が欲しいだろうと思います。

タイトルトはタに通じるか
記事No1859
投稿日: 2009/01/30(Fri) 17:24
投稿者hoshikuzustardust
> 一般に、日本の古代を考えるときに、現在の韓国語がどう役立つのか・役立たないのか。韓国語の古形が殆ど判ってないそうで、かなり危険度の高いことになりそうだな、と思ってます。

ええと、朝鮮の音韻をさぐる系の複数の書籍からもってきていたんです…白鳥先生の場合、【現代】韓国語からもってきていたかもしれませんね。 別の論文の著者および書名を失念していますので宜しければわかりしだいご報告させていただきたく存じます。図書館でみたことがあるっきりですのでまことにすみません。たしか、古新羅においての八母音存在の推定をし、奈良前期までの日本の八母音と極めて音素が極めて近そうだとの論が検討されていた本だったと思うのですが。その本には、【常】は「ト」であると。ただし私の妄想論のように「トト」であったとまでは言っていません、その本では。
>
> 例えば「ツ」と「ト」とか、「ヌ」と「ノ」とかの混乱・通用は承知していますが「トトネ」と「タタネ」すなわち「ト」と「タ」の通用の事例が咄嗟に浮かびません。そんな現象があった、と仮設するならせめて事例が欲しいだろうと思います。

ええと、私の頭の中にあった事例は、以下のふたつのみでした。
1:「わかみたふり【隋書】」と「わかんどほり(源氏物語)」
2:「たわわ」と「とをを」。 みかんがタワワにというものです。

※両者はタとト、ワとヲの通じるさまを知りたく思い、以前記憶していたものです。倭人伝の「都市牛利」は実は「都市牛和」の誤りであったのではないかとの推理に1番を使い、「都市牛和」=「都」+「市牛和」と分解できるのではと。「市牛和」は、「シコヲ(乙)」と見ることができそうなので、田心姫の田氏族との関連は?と追いかけている最中です。余談がすぎました。2番の項目関連では「ワ」と「ヲ」の近さをみたかったのでした。「和」が「ヲ」と近い音価であることを推理するためにも、前記の【古新羅においての八母音と奈良前期までの日本の八母音との音価の推定】を役にたてたいと考えています。当時の日本人の「ヲ」の音はおそらくあいまいな音であって…とその書籍が示唆しているからです。

ト・タの転についてここまでの2例ではこころもとありませんので具体的な事例をさらに少しつみあげようかと思います。

神武紀

タイトルトはタに通じるか
記事No1860
投稿日: 2009/01/30(Fri) 18:19
投稿者hoshikuzustardust
ト・タの転についてここまでの2例ではこころもとありませんので具体的な事例をさらに少しつみあげようかと思います。1859の投稿からの再掲以外は全部、安本美典先生の『倭人語の解読』から引っ張ってきました。甲乙の音の区別書きませんがお許しください。

※人名ないし、地位名
1:「与止姫(よどひめ)」の亦の名を、「豊姫(ゆたひめ)」とする記事が、『肥前国風土記』逸文にある。「ど」⇔「た」

※形容動詞的用法、一般名詞等
1:再掲「とをを」
※「秋萩の 枝も十尾に(とををに)」-『万葉集1595』
※「打竹(ささたけ)の 登遠遠(とをを)登遠遠邇(とををに)
天の真魚(まな)ぐひ、献る」-『記・上』

2:「一人(ひだり)」-『神武紀』
3:再掲 「わかみたふり」⇔「わかんどほり」

※地名等
1: 「肝等(かんと)」『安閑紀』
⇔「豊前国京都軍刈田(かんた)郷」『和名抄』

2:備中国下道郡「穴門(あなと)神社」『延喜式』の所在地
⇔「穴田郷」『和名抄』

3:大隈国「吐火羅(とから)島」は、「宝島」ともいう。

4:東京都中央区「永田(ながた)町」の古名は「長門(ながと)」

5:摂津国島上郡「阿久刀(あくと)神社」『延喜式』の所在地
⇔「芥(あくた)」『夫木集』

===

※自分で考えて事例をあげようとして失敗した例
「一昨日(を【とつ】ひ)」の語源。「【たち】ぬる月を昨月」とする文献があるようなので「とつ」と「たち」は通じるのではと。
しかし、これは駄目で、「をとつひ」は「をと」の「日」であって、「をと」は、間に距離があることを示す語彙。今日とおとといのあいだには日がはさまっていることから。なお、「をとつひ」の「つ」は接続に使っているだけです。
※なので、「おととい」から「とと」をものする作戦は失敗のようです。⇔「とと」が「とぶとりの飛鳥」と対応つくかどうかの関連での余談です。 

タイトルRe: トはタに通じるか
記事No1864
投稿日: 2009/01/31(Sat) 09:19
投稿者大三元
> ト・タの転についてここまでの2例ではこころもとありませんので具体的な事例をさらに少しつみあげようかと思います。

精査してないのですが、印象だけでお許しを願います。
どうも、上代の「た」が後代(平安と以降)に「と・ど」に転じている、という例に「過ぎない」のでは?(通時的変動)

ただ一つ「ひとり:ひだり」が同時代内部での共時的揺れの例「かもしれない」。「ひだり」が果たして「一人」の意味なのか、「だ」と濁音なのか、疑問が残っているようだ(時代別国語大辞典上代編)。

たわたわ=とををに:擬声語(擬態語)では音変化の自由度が高い(?)から「た」と「と」が通用する例としては相応しくない、なんて云えるかな。

「※両者はタとト、ワとヲの通じるさまを知りたく思い」:
「たわやめ」「たをやめ」というのもありますね。

タイトルRe^2: トはタに通じるか
記事No1866
投稿日: 2009/02/02(Mon) 14:41
投稿者hoshikuzustardust
>(通時的変動)
確かに、同時代の複数の文字資料から異読が発生しているケースではないですね。(トトネがタタネに変化することも同時代ではない…と強弁することは致しません。もともと無理な設定がありますので、常=トトなんて。)

>
> 「※両者はタとト、ワとヲの通じるさまを知りたく思い」:
> 「たわやめ」「たをやめ」というのもありますね。

あ、これは頂戴いたします。

==余談です
!!「※両者はタとト、ワとヲの通じるさまを知りたく思い」:

都市牛利=載斯烏越 を示したかったのです。和と越が通じると。烏は「コ」と読めそうな論拠を複数みつけてありますが、以上余談でした。

タイトルRe^3: トはタに通じるか
記事No1868
投稿日: 2009/02/02(Mon) 17:18
投稿者大三元
> 烏は「コ」と読めそうな論拠を複数みつけてありますが、

興味ありますね。
「猿声」を「ここ」と読むような擬音語の戯書でしょうかね?

タイトルRe^4: トはタに通じるか
記事No1870
投稿日: 2009/02/03(Tue) 16:14
投稿者hoshikuzustardust
> > 烏は「コ」と読めそうな論拠を複数みつけてありますが、
>
> 興味ありますね。
> 「猿声」を「ここ」と読むような擬音語の戯書でしょうかね?

モモソヒメとは主題が離れますので、機会をみつけて別のスレッドにてお話できればと存じます。
複数ある論拠のうちヒトツは、以下に、ふざけた文章ですが昔書きました。オヒマがあればお立ち寄りくださいませ。元ネタは森博達教授(中国語学)からです。

http://d.hatena.ne.jp/hoshikuzu/20081211#p1

※もうひとつは、ウサギとカエルとトラに関するもので、まだまとめていません。こちらも書籍からの引用になる予定です。