歴史・言語方面の話題をどうぞ
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タイトル謎の祭神
記事No1635
投稿日: 2006/10/18(Wed) 21:05
投稿者mti
以前にも書いたかもしれませんが
家の近く、よく車で走る道沿いに美麗な神社があります。
田園風景の中、川にのぞみ杜(もり)というにふさわしい木々に囲まれた
三木市志染町の御坂神社。 
播磨國風土記美囊郡冒頭によると「許曽の社(もり)」
郡名の由来を語る「みずながれて、うつくしき」にふさわしい景色です。 
志深里(しじみ)条によると祭神は、八戸挂須御諸命。
八戸掛須御諸(ヤトカケスミモロ)と間違って?書く本も多い。 
全く見かけない神名ですね。
読み方も不明なのですからハヘ・クス...と読むのはどうでしょう?
許曽、挂須でクス。「戸」はトと読むのが普通らしいですが
神戸、八戸などもあり「ベ」や「ヘ」と読んでもさしつかえないはずです。

タイトルRe: 謎の祭神
記事No1636
投稿日: 2006/10/18(Wed) 21:48
投稿者大三元
Ref 1635
mtiさん、ひさしぶりですね。
しかし、難問のようですね。史料がなさすぎる・・・

一応『時代別国語大辞典上代編』をみてみましたが:
ヤトカカス:多くの戸を構えた立派なミムロ、みたいなことが書いてあるのですが、用例は、ご指摘の播磨國風土記美囊郡しか出ていない。他に無いのでしょうねぇ。

八戸:ハヘ、、、魅力あるけどハヘ・クスでどんな意味合いを想定して居られるのでしょう?

タイトル八戸挂須御諸命
記事No1637
投稿日: 2006/10/19(Thu) 05:40
投稿者mti
御は丁寧語、諸は複数、命は神様と文字通り解釈し
ハエはパエ。 アイヌ語「行く」の複数で諸に対応させます。
クスはもちろん「渡る」ということで
全体としての意味は「水行諸神」でいかが?
久しぶりにパズルを楽しみました。
でも、ちょっと無理ですかねえ。

タイトルRe: 八戸挂須御諸命
記事No1638
投稿日: 2006/10/19(Thu) 09:30
投稿者大三元
Ref 1637 mtiさん

> でも、ちょっと無理ですかねえ。

かなり苦しいように見えますねぇ。
「ハエ」とくるならば、「八重事代主」の「ヤへ」(<ハエ?)へ来るのかな、と期待してみたのでしたが、ざんねん(^^)

「カカス」も紀伊の「国懸」の「懸」を「輝かす」と考えた拙論に寄り添ってくるのかな、とも期待してました。

ちょっと、論を展開させるにはトリツクシマがなさそうに思えます。

タイトル天津神
記事No1639
投稿日: 2006/10/20(Fri) 07:32
投稿者mti
ハヘ・カカス=「映え耀かす」
播磨国風土記は地上を行く神々ばかりなのですが
この神だけは御坂の峯に自天下、つまり天下りをした方なので
「耀かす」がよいかもしれません。

「水上を行く神々」は、いきなりアイヌ語を持ち出しましたが
和語の「這う」「馳す」や「越す」からたどっても
移動する神々にはなりそうです。

話は違いますが、この社に詣でて郡名をつけたという
大兄イザホワケについても何か「輝かす」のような意味は
含まれそうですか?

タイトル質問取消
記事No1641
投稿日: 2006/10/20(Fri) 12:50
投稿者mti
自己レスです。
イザホワケについては、「ホ」が火かもしれないというぐらいですね。
質問は取り消します。

タイトルRe: 質問取消
記事No1643
投稿日: 2006/10/20(Fri) 14:34
投稿者大三元
Ref 1641
mti さん
質問取り消しなさいましたが・・・

イザサワケ と
イザホワケ が どのように同じでどのように違うのか、
というのは気になっているところです。

それこそアイヌ語ですが
sa = sapo 姉 とか
po = 息子 あたりで、結構「ウマク」対立しているので。

タイトルsapo
記事No1646
投稿日: 2006/10/21(Sat) 15:51
投稿者mti
アイヌ語でsapo=姉ですか。
佐保神社も、あまり遠くないところにある巨大でよくわからない神社ですが
姉神社にしてしまいましょう。 親しみがわきます。

タイ語のサオは形容詞としてはで「若い」を意味します。
名詞では15才以上くらいの若い女性。
動物では交尾可能になったばかりのメス。
竿のこともサオですが
旗竿や鯉幟のときのように垂直でないといけない。
物干し竿のように水平ではいけません。
諏訪の御柱のようなものが理想?
最も有名なサオはバンコク旧市街の寺、ワット・スタットに
あるサオで高さ20mの巨木(チーク材)がふたつ並び
上部は結びつけられて
日本人が見たら大鳥居にしか見えない物体です。


ポーは父で、古きよき時代の王の名前にもくっつけるようです。
イザホは、イサ王?

タイトル補足 イササについて
記事No1648
投稿日: 2006/10/22(Sun) 06:03
投稿者mti
記憶だけで書いているので少し不正確かと思いますが
中世の播磨地誌「峯相記」(14世紀半ばの成立)によりますと
播州西部にイササ王という象のように大きい鹿の怪物がいたらしく
体には苔が生え、目は太陽のようであったとか
凶悪で人を殺したとか、ヤマタノオロチを思わせる描写です。
そういえば龍の頭は鹿のようでもあります。
この播州西部から美作に入りますと、かつては大山より高かった
という伝説を持つ雄大な山、奈義山があります。
サンボウタロウという巨人がいて、この山に腰をおろし瀬戸内海で
足を洗ったのだそうな。 巨人が死んで体が土に戻ったので
このあたりの土は肥えているというのが民話の結びになっています。
富士山がコノハナサクヤヒメを祭るような感じで奈義山はイザナギを祭り
奈義山の南北は播州東部、淡路島とならんで、イザナギを祭る神社の集中地帯
になっています。 この山の象徴が龍で、山麓の公園には最近作った龍の石像
が置かれています。

タイトルはじめまして
記事No1649
投稿日: 2006/10/28(Sat) 08:22
投稿者とみた
はじめまして、神奈備掲示板には時折、寄らせて頂いています。駆け出しで言語のことは何も知りません。

シニアになって日本各地や中国やシルクロードへ出かけて、遺跡や博物館を見てまわっています。大三元さんはアイヌ語の大家でミトコンドリアDNAも研究されていると承知しております。

> そういえば龍の頭は鹿のようでもあります。
黄河文明の龍は鹿と猪の合成獣ですね。
> この播州西部から美作に入りますと、かつては大山より高かった
> という伝説を持つ雄大な山、奈義山があります。
イザナギは淡路島の海人の祭る小さな神社から出たという松前健さんの説(日本の神々)がありましたので、奈義山の謂れを知って興味を持ちました

> 富士山がコノハナサクヤヒメを祭るような感じで奈義山はイザナギを祭り

縄文学のセミナーで伊豆諸島にはいろいろな海の民が黒潮に乗ってきたことを知りました。

> 奈義山の南北は播州東部、淡路島とならんで、イザナギを祭る神社の集中地帯

大野晋さんのタミール語研究などの解説もされておられますね、ありがたいことです。タミール人はインドに侵入したアーリア人に追われたドラビダ人でしょうがアーリア人と日本の関係を追っかけています。

私の古代史研究仲間(先輩)に、縄文語とポリネシア語との比較を研究している方がいます。紀元前1350年ぐらい前のラピタ人という南太平洋を闊歩した民がいますね。これは中国南部からニューギニアにやってきてフィジー島やポリネシアにも広がったようですが。

時々このコーナーを覗かせていただいています。



タイトルRe: はじめまして
記事No1650
投稿日: 2006/10/28(Sat) 09:34
投稿者大三元
とみたさん、いらっしゃいませ。

> はじめまして、神奈備掲示板には時折、寄らせて頂いています。駆け出しで言語のことは何も知りません。

はい、良く投稿なさった居られるのを拝見しております。

> シニアになって日本各地や中国やシルクロードへ出かけて、遺跡や博物館を見てまわっています。大三元さんはアイヌ語の大家でミトコンドリアDNAも研究されていると承知しております。

シルクロード、興味津々ですが全く未着手です。大家、とはとんでもないことです。ただ、記紀、アイヌ語、MtDNAなどを並列というのか、総合的にというのか、学際的に、というのか、そういう「ものの見方」、視点、視覚、は新しいことで、オススメしたい、オススメする理由がかくかくしかじか、、ということになろうかと思ってます。

日本語や日本人の「起源」は? という「設問自体の実体」が判らなくなってきて距離を置くようにしています。いずれも「一枚岩」ではなく「混合状態」である、と思うのです。従ってその混合状態の「起源」が何語か何人かに特定できるはずが無く、更にそれらの何語とか何人さえも、これまた「一枚岩」ではない、と考えるべきであろう。と考を進めて行くと、日本語や日本人の起源ってナンのことなのか、、、という次第です。

お書きになっておられた「弓月城」には興味があり、陳舜臣著『中国歴史短編集:4西域・南海編』を取り寄せて、それには松田壽男氏の『弓月についての考』という「詳細な論文」がある、と書いてあり、調べてみるとなんと ん万円もする著作集に入っているらしく、今日からたばこも晩酌をやめて買ってしまおうか・・・とか、いや、やめるのやめたとか・・・ぐだぐだしております。

あ、「弓月」の音訓読みが ku-tal に成りうるので、これが「百済」を「くだら」と読むことにつながっているのではないか、という愚考を発展、補強できることがないか、という角度で↑に興味があります。ご参考:
http://www.dai3gen.net/kudara.htm

タイトルRe^2: はじめまして
記事No1651
投稿日: 2006/10/28(Sat) 10:15
投稿者とみた
Ref 1650
> とみたさん、いらっしゃいませ。

ありがとうございます.nickさんも時折出てきておられるようで、賑やかになると面白いですね。
>
> > はじめまして、神奈備掲示板には時折、寄らせて頂いています。駆け出しで言語のことは何も知りません。
>
> はい、良く投稿なさった居られるのを拝見しております。

神奈備さんには敬意を抱いております。

私は、古代史は旅の連れと言いますか。漫然と旅をするより、古代の歴史を頭に浮かべながら歩くのが好きなんです。
>
> シルクロード、興味津々ですが全く未着手です。大家、とはとんでもないことです。ただ、記紀、アイヌ語、MtDNAなどを並列というのか、総合的にというのか、学際的に、というのか、そういう「ものの見方」、

実は、若いとき私は国立大学でDNAのはしりを勉強していまして国立遺伝研究所に伺ったこともあるんですよ。社会人になって、その世界から離れました。学友はバイオロジー屋がほとんどです。

学際的というのは大変大切ですが、遊び心で、でも真面目に古代と向き合いたいと思っています。

沖縄へ行くとアイヌ人とそっくりな人が今も居られて沖縄人とアイヌ人とのつながりを感じています。蝦夷が追いやられていくのは昔はアイヌ人が日本全土に広くいたのかななんて、他愛のないことから、興味が始まります。日本は南方系の民と北方系の民が広く混じっていることはご指摘の通りです。謎の4世紀で五胡16国の動乱を目下調べております。




> お書きになっておられた「弓月城」には興味があり、陳舜臣著『中国歴史短編集:4西域・南海編』を取り寄せて、それには松田壽男氏の『弓月についての考』という「詳細な論文」がある、と書いてあり、調べてみるとなんと ん万円もする著作集に入っているらしく、今日からたばこも晩酌をやめて買ってしまおうか・・・とか、いや、やめるのやめたとか・・・ぐだぐだしております。

パチンコもやりませんので、古代史の本ぐらいは年金でも買えそうです。松田さんの丹生の研究はほとんど読みました。

松田寿男さんと古賀登さんは早大の教授仲間だそうですね。

隼人は長江巴蜀の鵜飼の民という古賀説は大変面白かったですよ。
>
> あ、「弓月」の音訓読みが ku-tal に成りうるので、これが「百済」を「くだら」と読むことにつながっているのではないか、という愚考を発展、補強できることがないか、という角度で↑に興味があります。ご参考:

百済ですか、面白いですね。新羅と接点があるかなと思っておりました
> http://www.dai3gen.net/kudara.htm

タイトルレスありがとうございます
記事No1658
投稿日: 2006/10/31(Tue) 23:59
投稿者mti
何日か掲示板を見ないうちに議論が進んでいました (^^;


とみたさん、レスありがとうございます。
御坂社について、やや追加しましたのでよろしければどうぞ。
http://freki.exblog.jp/


大三元さん

>日本語や日本人の「起源」は? という「設問自体の実体」が判らなくなってきて
>距離を置くようにしています。いずれも「一枚岩」ではなく「混合状態」である
>と思うのです。従ってその混合状態の「起源」が何語か何人かに特定できるはずが
>無く、更にそれらの何語とか何人さえも、これまた「一枚岩」ではない、と考える
>べきであろう。と考を進めて行くと、日本語や日本人の起源ってナンのこと
>なのか、、、という次第です。

了解です。
この系統の話題についての私の疑問等、無視してください。

タイトルRe: レスありがとうございます
記事No1659
投稿日: 2006/11/02(Thu) 10:49
投稿者とみた
Ref 1658

mtiさん 初めまして、播磨あたりにお詳しいようですね。

また時々お邪魔しますのでよろしくお願いします。
 (^^;
>
>
> とみたさん、レスありがとうございます。
> 御坂社について、やや追加しましたのでよろしければどうぞ。
> http://freki.exblog.jp/
>

今は関東者ですが、関西に8年居りましたので辛うじて貴地を承知しています。

今頃出雲風土記の現代語訳を読んでいる有様で、播磨風土記まで至っておりません。

倭の直と明石直が親類筋とか、安曇族が瀬戸内にもいたとか、アメノヒボコと伊和神社(播磨一ノ宮)との鉄を巡る抗争など興味を持っています