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タイトル Re: 木邑姓の出所
投稿日: 2013/07/12(Fri) 22:32
投稿者木邑   <kimura.ma@angel.ocn.ne.jp>

木邑姓の出所
 平治元年(1159年)凍てつく十二月大晦日の夜、平治の乱に敗れた源氏の棟梁源義朝(源頼朝の父)は東国を目指して落ち延びる途中に立ち寄った相伝の家人の長田館の湯殿でだまし討ちに遭い、首は恩賞目当てに平清盛に差し出された。一行とはぐれ彷徨っていた頼朝(13歳)や母常磐御前の懐に抱かれた今若・乙若・牛若(義経二歳)の幼い三兄弟は捕らえられ武門の習いとして殺される定めに在ったが、平頼盛の母親である池禅尼の必死の嘆願により命を救われた。
 また尾張国知多郡野間の荘には源義朝の墓があったが、だれも顧みる者もなく、荒れるに任せていた。国司平保盛の目代として平康頼はこの敵将の墓を修理し、堂を建て、六口の僧を置き不断念仏を唱えさせ、その保護のために水田三十町歩を寄進もした。
源平の戦いに勝利した頼朝は流人時代に受けていた恩義に報いた。
文治2年(1186年)に源頼朝によって、阿波国麻殖保(おえのほ)の保司に任命された平康頼と共に同じ平を名乗る者二人が行動を共にし家人の鶴田氏と四人が京より森藤の地に下向し善政を行ったと言う。
後に起こった承久の乱で平康頼の二代目清基が後鳥羽上皇方に味方して敗れ幕府から保司を解任され、三代目で絶家した。一族をまとめて森藤を引き払い、越前国足羽郡の縁者を頼って彼の地へ移って行った。
麻殖保で平を名乗っていた二人の者は百姓となることで生存する事だけは許されたが、百姓が平を名乗っていく事までは許されなかった。平を名乗っていた一人は木邑を名乗り、もう一人は田室を名乗った。
幕末の頃までこの姓は使われていた様であるが多くの者が尊王攘夷派として天狗党に加わり討幕派に加わった事から命を狙われ木邑氏は大姓である木村氏を名乗り田室氏は大姓である田村氏を名乗り幕府方の追跡を逃れた。幕末には凄惨な殺し合いが行われた様であり討幕に加わった多くの者が頸を切られまた獄死し義民として靖国神社に合祀されている。

木邑家の始祖は平康頼と行動を共にした二人の平を名乗る者の一人だと言われる。承久の乱で敗れ百姓となり生存だけは許されたが、平姓を捨てる事への無念さと意地があったようだ。平姓に引けを取らない、いや、平姓よりも良い姓をと考えたのであろう。木邑姓の木邑の出所を探していたのだが日本書紀から採用した様だ。
日本書紀巻第三の一に「初め孔舎衞之戰に、人有りて大きなる樹に於て隱れて難を免がるるを得、仍りて其の樹を指して曰はく。「恩、母の如し。」 時人、因りて其の地を號けて、母木邑(おものきのむら)と曰ふ。今、飫悶廼奇と云ふは訛れる也。」

日本書紀から抜粋
初孔舍衛之戦有人隠於大樹而得兔難仍指其樹曰恩如母時人因号其地曰母木邑今云飫悶廼奇訛也
http://www.kyoto.zaq.ne.jp/dkanp700/koten/shoki7.htm
(岩波文庫 日本書紀 坂本太郎・家永三郎・井上光禎・大野晋 校注 を読む。)より抜粋
今度は、孔舎衞坂より生駒山を越えるルートを選択する。生駒山の西側の饒速日の所縁の地を押さえており、一気に饒速日山を攻略し、鳥見に迫ろうとしたのであろう。長髓彦は、知り尽くした地形であり、山を越え、孔舎衞坂において、手当り次第集めた兵を幾重にもずらりと並べ、上から順次、一斉に矢を射かけさせた。これが、五瀬命の肱と脛に当る。最初の戦闘は皇師側としては、手も足も出ぬものとなった。神霊のもつすぐれた力が、はげしい勢いであらわれる五瀬命が傷を負うたことは、守護神同志の戦いでもある世界では不吉な前兆でもあった。
天皇(すめらみこと)、之を憂へ、乃ち~策を冲衿に於て運めて曰はく。「今、我、是れ日~の子孫にして、日に向ひて虜を征つ。此は天道に逆れる也。若じ。退き還へり弱を示す。~祇を禮び祭ひて、背に日~之威を負ひ、影の隨に壓ひ躡みなむ。此の如く、則ち曾て刃に血らずして、虜必らずや自から敗れなむ。」僉曰す。「然り。」是に於て、軍中に令して曰まふ。「且は停まれ。須(すべから)ず復たな進きそ。」乃ち軍を引きて還へる。虜亦敢へて逼めず。却りて草香之津に至り、盾を植てて雄誥を爲さむ。【雄誥 此云烏多鶏縻】因りて改めて其の津を號けて盾津と曰ふ。今、蓼津と云ふは訛れる也。初め孔舎衞之戰に、人有りて大きなる樹に於て隱れて難を免がるるを得、仍りて其の樹を指して曰はく。「恩、母の如し。」 時人、因りて其の地を號けて、母木邑(おものきのむら)と曰ふ。今、飫悶廼奇と云ふは訛れる也。


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