タイトル | : トはタに通じるか |
投稿日 | : 2009/01/30(Fri) 18:19 |
投稿者 | : hoshikuzustardust |
ト・タの転についてここまでの2例ではこころもとありませんので具体的な事例をさらに少しつみあげようかと思います。1859の投稿からの再掲以外は全部、安本美典先生の『倭人語の解読』から引っ張ってきました。甲乙の音の区別書きませんがお許しください。
※人名ないし、地位名
1:「与止姫(よどひめ)」の亦の名を、「豊姫(ゆたひめ)」とする記事が、『肥前国風土記』逸文にある。「ど」⇔「た」
※形容動詞的用法、一般名詞等
1:再掲「とをを」
※「秋萩の 枝も十尾に(とををに)」-『万葉集1595』
※「打竹(ささたけ)の 登遠遠(とをを)登遠遠邇(とををに)
天の真魚(まな)ぐひ、献る」-『記・上』
2:「一人(ひだり)」-『神武紀』
3:再掲 「わかみたふり」⇔「わかんどほり」
※地名等
1: 「肝等(かんと)」『安閑紀』
⇔「豊前国京都軍刈田(かんた)郷」『和名抄』
2:備中国下道郡「穴門(あなと)神社」『延喜式』の所在地
⇔「穴田郷」『和名抄』
3:大隈国「吐火羅(とから)島」は、「宝島」ともいう。
4:東京都中央区「永田(ながた)町」の古名は「長門(ながと)」
5:摂津国島上郡「阿久刀(あくと)神社」『延喜式』の所在地
⇔「芥(あくた)」『夫木集』
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※自分で考えて事例をあげようとして失敗した例
「一昨日(を【とつ】ひ)」の語源。「【たち】ぬる月を昨月」とする文献があるようなので「とつ」と「たち」は通じるのではと。
しかし、これは駄目で、「をとつひ」は「をと」の「日」であって、「をと」は、間に距離があることを示す語彙。今日とおとといのあいだには日がはさまっていることから。なお、「をとつひ」の「つ」は接続に使っているだけです。
※なので、「おととい」から「とと」をものする作戦は失敗のようです。⇔「とと」が「とぶとりの飛鳥」と対応つくかどうかの関連での余談です。